| 前回は閉塞性動脈硬化症の検査についてお話ししましたが、今回は治療のお話しです。閉塞性動脈硬化症の治療には外科的な治療、カテーテル治療、薬を用いた治療などがあります。ここでは近年盛んに取り組まれているカテーテル治療を中心にお話しします。
カテーテルを用いた治療
カテーテル治療の手順を説明します。図1では、左の外腸骨動脈(○で囲った部分)に狭窄(狭くなった部分)があります。まずガイドワイヤーという柔らかい針金を通した後に、バルンカテーテル(風船のついた治療用のカテーテル)を、ガイドワイヤーに沿って狭い部分まで進め、狭窄を風船で押し広げます(図2)。血管は広げてもすぐにしぼんだり、血管の内面がめくれて血液の流れを妨げたりすることがありますので、多くの場合ステントという筒状の金網を留置して、十分に広がった状態が保てるようにします(治療後が図3です)。
カテーテル治療は腸骨動脈(おへその下あたりから股までの、骨盤の内の動脈)については特に効果が高い方法です。大腿(ふともも)の動脈は、よく動く筋肉の中を通るために治療をしてもまた狭くなったり詰まったりすることがあり、手術による治療が優先されました。しかし最近になってカテーテル治療の道具や治療方法が改良され、カテーテル治療でも手術に引けを取らなくなってきています。カテーテル治療は手術に比べて肉体的な負担が少なく入院期間も短く済むため、盛んに行われるようになってきています。(図4が下肢動脈用のステントです)
膝下の動脈は血管が細いためカテーテル治療ではうまく治療できないことが多く、薬による治療が中心です。ただ皮膚に潰瘍が出来たり、壊疽になって切断の可能性があるような場合は切断を防ぐためにカテーテル治療を行うことがあります。
手術療法
詰まった血管が長い場合や、足の付け根・膝などよく曲がる部分の狭窄の場合には、カテーテルでは治療が困難であったり、治療後にまた狭くなったり詰まってしまう可能性が高いため、外科的な治療(バイパス術や血栓内膜除去術など)のほうがふさわしいことがあります。手術による治療は、当院の血管外科で受けることが出来ます。
薬物治療
狭窄が軽い場合や、逆に動脈硬化がとても強く手術やカテーテルによる治療が難しい場合は薬による治療が中心になります。薬による治療では、抗血小板薬・血管拡張薬・抗凝固薬といった種類の薬を、状態にあわせて1〜数種類を組み合わせて使います。また、運動は新しい血管の成長を促しますので、積極的に運動療法を行います(必要な方にはリハビリによる運動指導も行っています)。
動脈硬化は予防が第一
動脈硬化による疾患は、手術やカテーテルを用いた治療により詰まりや狭窄を取り除き症状を改善することが出来る様になりました。しかし、動脈硬化を起こす原因がある限り、また狭くなったり詰まったりしてしまいます。第1回目にお話ししたとおり、動脈硬化の原因は様々です。この中で、加齢は防げませんが、高血圧や糖尿病、高脂血症、喫煙など動脈硬化の危険因子の多くは適切な治療を受け生活習慣を改善することでコントロールが可能です。動脈硬化を予防し、健康で快適な生活を送るために、これらの基礎疾患・危険因子の治療・解決を心がけましょう。
なお、検査や治療についてお知りになりたい方、ご希望の方は当院循環器医師にお気軽にご相談ください。
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