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●ちょっと気になる病気の話

子宮筋腫はもう切らない

シリーズ2

高尾 成久
 
高尾 成久
松江生協病院 女性診療科医師
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お腹を切らない子宮筋腫治療(2)
腹腔鏡下手術による子宮筋腫の治療(図1)
 お腹を切らずに子宮筋腫を手術する方法として、腹腔鏡下手術があります。お腹の中の操作は腹腔鏡下で行い、膣から子宮(筋腫)を摘出する腹腔鏡下子宮摘出術(LAVH)と、腹腔鏡下に子宮筋腫のこぶだけを摘出し子宮は温存する、腹腔鏡下筋腫核出術があります。
 腹腔鏡操作は、臍下に1cmの小切開でボールペン大の腹腔鏡を挿入します。また下腹部左右に5mmの小切開で鉛筆大の鉗子を挿入し、腹腔内の手術操作を行います。
 腹腔鏡下手術は、切開創が小さく、術後の回復も早く、早期の社会復帰が可能です。また術後、お腹のなかの癒着も少ないため、子宮筋腫が原因での不妊症患者さんに対する筋腫核出はこの手術療法が最適と考えております。
 子宮筋腫の手術療法として、全例の患者さんに行えるわけではありませんが、適応さえ誤らなければ、非常に福音ある治療法であると考えております。
 
子宮鏡下子宮筋腫切除術(レゼクトスコープ)による子宮筋腫の治療
 子宮筋腫は、筋腫のこぶが子宮に位置する場所により三種類に分けられております(図2)。子宮の外側にできる漿膜下筋腫、内側(子宮筋層)にできる筋層内筋腫、子宮の内腔に突出する粘膜下筋腫です。これら三種類の内、粘膜下筋腫は、そのこぶが小さくても 症状が非常に強く、過多月経(生理量が非常に多い)による貧血や、不正出血、不妊などを訴えられます。このタイプの筋腫に対しては、お腹を切ることなく、子宮口より内視鏡(子宮鏡)を挿入し、子宮内腔に突出した筋腫のこぶだけを削って切除するこの治療法が非常に有効です。

 
子宮動脈塞栓術(UAE)による子宮筋腫の治療(図3)
 子宮筋腫を栄養する血管は、その大部分が子宮動脈に依存しています。一方、正常子宮筋層や子宮内膜は一部は当然子宮動脈から栄養されていますが、他の血管からも、豊富に栄養されています。
 そこで考えられたのが、子宮動脈を遮断(塞栓)することで子宮筋腫は縮小しますが、他の正常な組織は比較的栄養障害が起こらないとされるこの治療法です。この治療による子宮筋腫の縮小率は約50%で、症状改善率は過多月経については80%〜85%、月経痛については80%弱で、患者さんの満足度は90%以上であったとの報告があります。
 子宮筋腫を有する不妊症患者さんにこの治療を行った後、妊娠が成立、継続したとする報告もあります。実際の手技は、透視科に鼠径部の血管からカテーテルを挿入し、子宮動脈まで進めた後、そこに塞栓物質を注入し子宮動脈の血管を遮断します。
 当科でも一昨年より、放射線科との協力でこの治療法を行っており、良好な成績が得られております。
 しかしながら、この治療法はまだ新しい治療法であり、その適応や長期予後、および合併症については、まだ統一された見解は得られておりません。また不妊症の患者さんや将来妊娠を希望される患者さんへのこの治療の適応については結論にいたっておりません。
 したがって、当科では、個々の患者さんによってこの治療の有用性を慎重に検討し、そして患者さんにこの治療のメリット、デメリットを十分に説明し、理解と納得していただいた後施行しております。


**この記事は松江保健生協の機関紙「強い体」からの引用です。

 

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