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●ちょっと気になる病気の話

子宮筋腫はもう切らない

シリーズ1

高尾 成久
 
高尾 成久
松江生協病院 女性診療科医師
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はじめに
 子宮筋腫は婦人科(女性診療科)を受診される外来患者さんのなかで、最も多い疾患の一つです。成人女性の約四人に一人は子宮筋腫を有していると推測されています。無症状のことも多く、子宮癌検診や、妊娠で受診された時に偶然発見されることもあります。
 
子宮筋腫の症状とは
 有症状で最も頻度が高く問題となるのが、過多月経による貧血や、月経困難症(生理痛)です。その他の症状としては筋腫による圧迫症状で、膀胱圧迫による頻尿や残尿感(おしっこの回数が多く、すぐまた貯まった感じがする)、直腸圧迫による便秘などです。また子宮筋腫が不妊症の原因になる場合もあります。
 子宮筋腫は基本的には、良性疾患であり、また閉経すれば自然に縮小していくことが期待できるため、筋腫があったとしてもすぐに治療しなくてはならないものとは限りません。筋腫が大きくても、また筋腫の数が多くても無症状のものは経過観察とするものもありますし、筋腫が小さくても筋腫の位置によっては症状が強く、治療しなくてはならないものもあります。
イラスト
 
子宮筋腫の治療法
 子宮筋腫に対する治療法には、保存的治療法と手術的治療法があります。
 従来、子宮筋腫に対する治療法は、手術的治療法であるお腹を切って(開腹)での子宮摘出術が最も選択されていました。近年、子宮筋腫に対する内視鏡下手術や、子宮筋腫を栄養する血管を遮断することによって筋腫を小さくする治療法(子宮動脈塞栓術)など、いわゆるお腹を切らない手術や、また、子宮筋腫に対するすぐれた薬剤が開発され、子宮筋腫の治療に多くの選択肢が考えられるようになりました。
 実際、当科では、1995年では、手術的治療法の%が開腹手術でしたが、2003年では、開腹手術は43%と半数以下となりま
した。子宮筋腫の患者さんが減っているわけではありませんから、すなわち、子宮筋腫は、今ではお腹を切らない治療が多く選択されてきているといえます。
 
お腹を切らない子宮筋腫治療子宮筋腫治療(1)
今回は当科で行っているお腹を切らない子宮筋腫の治療法を御紹介します。

GmRHアゴニスト療法による子宮筋腫の治療
 子宮筋腫は女性ホルモンであるエストロゲンに刺激されて増大するので、このエストロゲンを下げれば、子宮筋腫は縮小します。
  GmRHアゴニスト(リュープリン注射、スプレキュア点鼻薬)は、卵巣からのエストロゲン分泌を抑制し、月経(生理)を停止させ、偽閉経状態にし、その結果子宮筋腫の縮小が得られます。
 ただこの薬物は、投与期間中にのみ効果があり、投与を終えると、子宮筋腫はすぐ元の状態に戻ります。
 また投与中に更年期症状が出現したり、長期投与によって骨粗鬆症の問題が起こる場合があります。
 したがって、この薬剤が最も適しているのは、手術前に一時投与することで子宮筋腫が縮小し、開腹手術でなく、膣式手術が可能になったり、そろそろ閉経に近く、この薬剤で閉経の状態にしながら、自然閉経にスムーズに移行できる患者さんと考えております。
(次号へ続く)

**この記事は松江保健生協の機関紙「強い体」からの引用です。

 

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