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●ちょっと気になる病気の話

赤ちゃんが欲しいあなたに(不妊症について)

高尾 成久
生協病院 女性診療科医師

 一般に、結婚後二年間の夫婦生活を送っているにもかかわらず、妊娠に恵まれない場合を原発性不妊症、 また、かつて妊娠したことがあるがその後二年以上妊娠に恵まれない場合を続発性不妊症といいます。だいたい十組に一組の御夫婦が不妊症と言われており、決してめずらしいことではありません。

 不妊の原因も単純なものから、複雑なものまで多岐にわたっています。また女性側の原因が半分で、あとの半分は男性側にあるとも考えられています。

 年齢が高くなればなるほど治療成績も悪くなってきますし、また不妊期間が長い御夫婦ほど治療成績が上がらないとする報告もあります。

 不妊かどうかの目安は二年といわれておりますが原因を検査し治療開始が早いほど結果はでやすくなります。最近は晩婚化が進み、治療を開始する年齢も高くなってきておりますので一年たっても妊娠しない場合は、まずは健康相談、健康診断のつもりで来院してみて下さい。

 とかく女性側ばかりに不妊の原因は押しつけられがちですが、不妊症は決して片方ばかりの問題ではなく、御夫婦二人の問題として乗り越え解決していく気持ちを持つことが大切です。

 御夫婦と病院スタッフとの三人四脚で、あせらず前向きに頑張っていきましょう。

不妊症の治療

 不妊症治療は、タイミング指導や人工授精などの一般不妊治療と、体外受精や凍結胚移植、顕微授精な の高度生殖補助医療に分けられております。不妊症患者さんの約三割が体外受精などの高度生殖補助医療を必要としますが、七割は一般不妊治療で妊娠されております。

人工授精 体外受精

採取された精子を洗浄した後、特殊な注射器で排卵日に子宮に注入する方法。

精子と卵子を培養液の中で受精させ、受精卵を子宮に戻す方法。
凍結胚移植 顕微授精
体外受精での余剰受精卵を凍結保存し、次回に子宮に戻す方法。
顕微鏡下に精子を卵子の中に直接注入し受精させ、受精卵を子宮に戻す方法。

タイミング指導

 卵の大きさを超音波検査で計測し、さらに血液中のLH(黄体ホルモン)、エストロゲン値、プロゲステロン値を調べて、排卵日を予測しタイミングを図ります。

 排卵障害のある方には、排卵誘発剤で卵の発育を促す場合もあります。

当科での取り組み

 タイミング法で妊娠される患者さんはその七〇%が六カ月以内の通院で妊娠され、八〇%は通院一年で妊娠されております。

 また、人工授精では四回目までに、また体外受精でも四回目までに多くの患者さんが妊娠されております。この治療成績より当科では一般にタイミング指導をはじめとする一般不妊治療を一年から二年程続け、それでも妊娠しない場合は、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療へとステップアップして行きます。

 検査も一般不妊検査から始め、必要な患者さんには、内視鏡(腹腔鏡)検査や内視鏡(腹腔鏡)下手術を選択しております。

 不妊治療の流れにそって検査と治療を進めていきますが、不妊の原因によっては、はじめから体外受精や顕微授精が必要になる場合があります。

 当科での不妊診療の特長として、内視鏡検査や手術もできること、不妊治療から分娩、新生児の管理を一貫して行えること、また合併症を有する患者さんが体外受精を希望される場合も、各科との協力のもと、安全
に行うことが可能です。

おわりに

 子供を希望しても、恵まれない不妊夫婦の悩みは深く、それを解決するのが私共の務めであると考えております。そしてその悩みが解決され、我が子を抱いて微笑んでおられる御夫婦の姿を見ることは不妊診療に携わっております私共の喜びでもあります。

当院での体外受精施設
採取された卵子および精子は、培養室で採取された卵子および精子は、培養室での厳重な管理のもとで体外受精がおこなわれます。
顕微授精を行う装置(マイクロマニピュレーションシステム)です。当科では顕微授精も行います。またこの装置を用いて、受精卵の殻(透明帯)に切開を加えたり、薄くしたりして子宮に着床し易くする操作(アシステッドハッチング)も行います。
体外受精での余剰卵を凍結保存するのに用いますプログラムフリーザーです。当科では、余剰卵を凍結し、凍結融解胚移植も行います。

 

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**この記事は松江保健生協の機関紙「強い体」からの引用です。

 

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