| 経鼻胃カメラ(経鼻的上部内視鏡検査)は2002年2月に出雲市で始まりました。そして同年10月に学会で発表されることで大きな反響をよび徐々に全国へと広まりつつあります。
病院では患者さんの胃に栄養チューブを入れる場合、ほとんどが鼻から挿入しています。その方が口から挿入するより嘔吐反射が少ないことは一般的に知られています。胃カメラも鼻から挿入すれば楽であろうことは予想されていましたが、従来の胃カメラは直径が約10mmと太く挿入することは出来ませんでした。
しかし、2002年2月に富士写真光機より直径5.9mmの細い胃カメラが発売され、鼻からの挿入が可能となりました。その年の夏頃から当院に対しても出雲市での評判を聞いた方から問い合わせが始まり、同年11月26日山陰中央新報での報道をきっかけに問い合わせ件数が急増しました。
しかし、当院ではだれもそれを見たことさえない状態でしたので私自身、経鼻カメラを導入されている施設で実際に受けてみることにしました。のどを超える時に若干の嘔吐反射がありましたが、胃の中へ入ってしまうとほとんど苦痛はなく、胃カメラが入っているという実感さえないほどでした。
さらに、口が塞がれていないため検査中に会話が可能であり、自分の胃をモニターで見ながら術者に質問することができるのには驚きました。
早速2003年1月に機器を導入し、先ず職員健診にて試行を始めました。当初は不慣れなため約半数の方で挿入ができず、経口に切り替えてもらったりしていましたが、数ヶ月後には技術的に安定し、ほとんどの方で鼻からの挿入が可能となったので一般の患者さんでも開始しました。
以後、2004年2月までで319例を施行し早期癌1例を発見、問題となる合併症は見られていません。
患者さまからよく頂く質問をQ&Aにまとめてみました。
「鼻からカメラを入れたりして痛くないですか?」
鼻に局所麻酔をしてしますので痛みはほとんどありません。ただし、鼻腔が狭い方では胃カメラが鼻粘膜をこするため、麻酔が切れてから鼻がヒリヒリしたり、重い感じがしたりすることがあります。この場合も少量の鎮痛薬を内服するだけで改善します。
「鼻の穴の小さい人でも できますか?」
残念ながら鼻腔が狭いために断念し、経口または胃透視に切り替える場合が約2%(50人に1人)程度あります。ただし、狭くて通過障害を起こすのは奥のほうなので外見上の鼻の穴の大きさとは直接関係ありません。
「鼻づまりがありますが
できますか?」
麻酔をかける時に鼻粘膜を収縮させる薬剤をスプレーしますので問題ありません。ただし、術後に胃カメラの刺激により鼻炎症状が一時的に悪化する場合がありますので注意が必要です。
「鼻の穴に傷が つきませんか?」
カメラを出し入れする時に鼻腔をこするために、少量の鼻出血が見られる場合があります。しかし、ほとんどの場合すぐに止まるので今まで問題となったことはありません。
「鼻からのカメラは精度が
低いと聞きましたが?」
通常胃カメラの解像度はその直径に比例しています。高解像度の太い胃カメラは鼻から挿入することができませんので、ある意味では正しいと言えます。ただし検査の精度は胃カメラの解像度のみで決まるものではなく、患者さんの状態も大きく関係してきます。嘔吐反射が強い場合には観察が不十分となり早期癌等の見落としの原因になります。胃カメラが苦手な人の場合には嘔吐反射の少ない経鼻の方が精度が高いと考えています。
胃カメラが苦手な人は、一度経鼻胃カメラを試してみられることをお勧めします。
|